「差別」

 例えば、喜怒哀楽の発生だったり、痛みや悲しみの受け止め方だったり。人間ってこうだよなというのを経験として持ってる人が少なくなっている。それは、ボクたちが「現実」を生きなくなったからだろう。

 ネットによって多くの人とつながることができるようになった。けれど、その多くは実際の触れ合いではない。ゲームや読書で人間の感情を推測することが得意になっても、結局は推測でしかない。

 「個性」というものに煽られて、他とは違う人間であろうとしてきたボクたちが今すべきことは、電車の中で老人が立っていたら実際に席を譲ってみることだ。SNSに不平不満をつぶやくのではなく、面と向かってそれを相手にぶつけてみることだ。そして、その反応を記憶することだ。決して仮想現実や拡張現実といった世界に没頭することではない。

 「他人の気持ちがわかる。」ということを、経験を通して知ることこそが、ボクたちを寛容にし、他人を認めることへの一歩となるはずだ。